2017年04月07日 23:37

巣立ちの時

 子どもの時に見た、「キタキツネ物語」という映画が、今でも印象に残っています。

 かわいらしい子ギツネたちが親ギツネに育てられる様子を上機嫌に見ていたのもつかの間、ある日突然優しかった親ギツネが、少し大きくなった子ギツネたちを攻撃し、巣から追い出し始めた場面に、子ども心に衝撃を受けました。

 それは、単にかわいそうだとか大変だなといった他者に対して抱く感情から起こるショックではなく、こうした厳しい掟がこの世界には存在し、自分もその中に生きているという現実に気づかされたことによるものでした。人間という生き物である自分もいずれこれを経験し、そして親としていつか実行していかなければならない、そこから逃れることはできないのだという現実を突きつけられたように思いました。

 今日あたり、高校の入学式のピークでしたね。小学生・中学生・高校生、社会人となる大学生たちはそれぞれの門出を迎えていることでしょう。

 私の息子も今春、木更津高専に入学することができました。入試の難易度はそこそこ大変といったところで、彼なりによく頑張ったと思います。

 小学校低学年時代、私がつきっきりで厳しくやり過ぎたせいで、算数が苦手になってしまいました。私も塾長なんてやっていますが、こんなしょうもない失敗をやらかしてしまいました。しくじり塾長ですね。総じて男親が厳しいのは、子どもの成長にとってろくなことはありません。

 塾屋の息子なんだから特別に教えてもらったりしているんだろうと思われるかもしれませんが、上のような失敗の経験から、私はそういうことは一切やめることにしました。そして、国語道場に通っている生徒の一人として、同じ方法で指導することにしました。

 ぎりぎり小学校の間に、読書指導「ことばの学校」に出会えたのは大きかったですね。文章をきちんと読みつつ日本語語彙力を伸ばし、あらゆる学びの基盤を作ることができました。

 中学1年生の秋には、日本語語彙力30,000語突破の判定が出て、苦手だった算数・数学もそのころから徐々に成績が上がり始めました。

 実は、小学6年生の時は偏差値30台にまで低迷するまでになっていました。こういうのはただ教え込めば、勉強なんかできるようになるんじゃないかという誤った認識を持った親の責任ですね。本当に息子のおかげで、私は学習指導において何が肝要かということを、根本から学ばせてもらったと思っています。

 それでも、中2の間は、平均点前後を行ったり来たりする、じりじりした状況が続きました。本人も結構つらかっただろうと思います。

 私は、過去からの反省から、とにかく悪いところは一切見ないようにし、よかったところだけを言うようにしました。それもほんの1点2点上がったくらいのことでも、それをきちんと評価し、励まし続けました。

 今となってはこれも確信しているんですが、子どもの成績が悪いことで怒ったり腹を立てたりするのは、親の対応としては下の下です。断言します。無意味なうえに有害です。

 いよいよ中3になり、夏休みに入って部活も終わり、勉強一本に集中できるようになると、成績大幅アップの時を迎えました。2年生の間じりじりした分、すっきりしましたね。

 1年間の模試がすべて終わってみると、結局一番成績が上がったのは、理科と数学でした。

 一番やってはいけない「親の個別指導」で息子を勉強嫌いにしてしまうという、医者の不養生、紺屋の白袴的な大失敗から始まって、ここまで挽回してきたのだから、我が子ながら本当によくやったと思っています。

 天台の自宅からだと通学に片道1時間半ほどかかってしまうので、寮に入ることを希望したところ、許可をいただきました。

 それでもって今週初めはお引越し。私と家内と娘、それから木更津高専卒の家内の弟とその息子君の計5人が同伴してのお引越しでした。

 高専は入学式が早くて、4月4日にありました。それから新入寮生は、「掃除合宿」なる4日にわたる先輩からのしごきがあるそうです。そのほかにも入浴時はシャワーのみ、食堂に冷水・お湯・お茶のサーバーがあるのですが、お茶は飲んではいけないなど、掟があるそうです。

 教育を称する理不尽の押し付けは、私個人としては正直感心しないのですが、いろいろな人がいる社会の中で折り合いをつけて生きていったり協働したりするスキルを身に着ける経験と考えると、仕方がないというか、ある意味とてもよい環境なのかなと思っています。でも、やはり、気ままにやってこさせてきた分、新しい環境に慣れるのも大変だろうと心配です。

 結局、親の子離れは、なかなかに覚悟のいるものですね。キタキツネたちも頑張ってやっていましたので、私もその自然の摂理に従って決然と進んでいきたいと思います。

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