2016年06月27日 10:22

ウチの子はなぜ「勉強と部活の両立」ができないのか

 連日4・5件、塾生やご新規お問い合わせの方の面談を承っているものですから、更新が途切れがちになっております。このようなブログでもいつもご覧いただいている皆様には心より感謝申し上げます。

 

 先日の中学生の塾生の面談での話なのですが、所属する部活の顧問に、練習をたまに休んで塾で勉強したいと相談したところ、「ならば部活をやめろ」と言われたそうです。なんともため息しか出ませんね。 

 

 そもそも学生・生徒の本分は勉強であることに疑いはなく、プロスポーツ選手やアーティストになるのでない限り部活は趣味であって、余暇に打ち込むべきものであるということをきちんと認識していただきたいものです。

 そして、子どもたち一人ひとりの能力や特性が違う以上、どれくらいの時間勉強時間を確保するか=部活にはどこまで参加してよいかは一人ひとり当然違います。そこは最大限考えてあげなければいけないことです。

 

 

 定期テスト直前期になると、おおむねどこの中学校も7日前から部活動休止になりますね。まあ、どことは言いませんが轟町中学校のバカたれは5日前ですが。

 こういうのもどうなんでしょうね。一人一人の子供の学力や目標の高さによって、必要な学習時間は違うはずなので、全員一律に部活動休止というルールを順守しなければいけないのかということにも、私は疑問を感じます。人によっては1週間と言わず10日、2週間休んだっていいと思いますよ。

 「うちの子はこれだけの勉強時間が必要です。それを確保したいので、部活動にはこれだけ参加させていただきます」といった形で、生徒本人や保護者、顧問たちで取り決めるようなことをして行くべきなんじゃないでしょうか。

 

 

 こう言うとすぐに、「でも○○先輩は部活もすごく頑張ってやっていたのに△△高校に行った。やっぱり勉強と部活の両立が大切だ」などとアホなことを言う大人がいます。

 よくいますよね、「○○先輩は部活もすごく頑張ってやっていたのに△△高校に行った。やっぱり勉強と部活の両立が大切だ」などと言うアホな大人が(大事なことなので2回言いました)。

 だから何だと。○○先輩はあなたのお子さんとは別人です。誰もが英雄と同じように生きることができないことは当たり前のことです。

 こんなの、「モーツァルトは5歳で作曲をしたのに、何でうちの子はできないんだ」とか、「J.F.ケネディは44歳で米国大統領になったのに、何でうちの父ちゃんはそうじゃないんだ」と思うのと同じくらいバカげています。

 また、「部活は人格形成やコミュニケーション能力を磨く場になる。やっぱり勉強と部活の両立が大切だ」などとしたり顔して高説を垂れる大人もいるかもしれません。

 こういう御説に対しては、「どうぞ存分にやってください。ただしお子さんの勉強時間を確保した上で」としか申し上げようがありません。

 

 どうも「勉強と部活の両立」という言葉が出てくると、多くの方が思考停止になってしまうのは困ったものです。いかにこの言葉が空虚で意味のないものか、実態に即してよくよく考えてみてほしいものです。

 「勉強と部活の両立」なるものの実態とは何か。ほとんどの子どもたちにとってそれは、学校で言われるままに毎日のように素人が指導する「練習」に長時間拘束され、くたくたになって勉強はグダグダというものです。

 こんなもの理不尽極まりないことは言うまでもありません。にもかかわらず「うちの子は勉強と部活の両立ができていない」などと思ったり言ったりするのならば、それはむしろ大人の方に判断力が足りないのです。非は部活動の方にあります。

 

 まず、「勉強と部活との両立が大切」などと言う無意味な言説の前で思考停止してはいけません。現在日本で当たり前のように行われている部活動には、次の二つの問題点があるということを直視していただきたいと思います。

①生徒個々の特性を無視して、全員に同じように活動させる

②そもそも部の活動自体が過剰である

 

 ①については、上に述べたとおり、個々の子どもたちの学力に合わせて、どれだけ部活動に参加してよいのか考慮してあげることが必要でしょう。

 ②についてですが、組織による理不尽の押し付けという点でブラック企業問題、日常的な長時間の拘束という点で日本のサービス業の生産性の低さなどなど、実はこの国に広がる諸問題に一脈通じるものがあるようにさえ思われます。 

 

 部活動は学校の先生方にとっては労働問題でもあります。部活動問題を是正しようというプロジェクトとして、現場の先生たちの団体(下の画像をクリック)もあります。

 学校の先生の労働を無尽蔵に要求して当たり前のように思っている人がいるかもしれません。「教育のような仕事をしているんだから、子どものために何でもやるのは当たり前。それが嫌なら教師になるな」といった感じでしょうか。

 私はこのような考え方には全く賛成できません。人のできる仕事の量は有限ですから、学校の先生たちへの過重な負担は当然のように子どもたちの指導にしわ寄せが行きます。それでは本末転倒だからです。

 そもそも日本の教師の週当たりの労働時間が53.9時間と、OECD加盟国中最長である(平均は38.3時間)という状況は、速やかに改善されるべきです。日本の将来を担っていく子どもたちを教育する立場の人たちが、ブラック個別指導塾並みの過重労働環境にあることは、子どもたちにとっていい影響があるとは思えません。

 こうした問題提起がマスコミで取り上げられるようになり、文科省が指針を出すことになったという報道がありました。部活動をやってはいけない「休養日」を設けるなどといった方針を、来年度にも定めるということです。

 なんとも私には違和感のある話に思われます。なぜなら、中学校には週2日、高校には週1日部活動には休養日を設けるべきであるという指針は、1997年に一度出されていて、今も有効なはずだからです。それをとっとと徹底すればよいのではないでしょうか。

 

 注目すべきなのは、この1997年の指針の根拠になった調査では、

行き過ぎた活動量は,生徒の心身に疲労を蓄積し,スポーツ障害の要因となるのみならず,その学校を卒業すれば(その)スポーツは行わないといういわゆるバーンアウト(燃え尽き)の一因ともなると考えられる。 さらには,生徒のバランスのとれた生活や成長を考えたとき,運動部活動に極端に偏ることは,望ましいことではない

と明記されていることです。

 つまり、中学で週2日の休養日のない部活動は行き過ぎなのです。これは文科省が言っていることです。行き過ぎた活動にフル参加していたら、子どもが息切れするのは当然です。

 

 私は、むろん部活動を否定する者ではありません。私自身、高校で吹奏楽部、大学でオーケストラに所属していて、かなり熱心に活動していました。そこで得た経験は大変貴重なものだと思っています。

 重要なことは、部の活動そのものが過剰にならないこと、個々の子どもたちが部の活動への参加の程度を主体的に決められることです。

 いくら野球が好きだからと言って、草野球に夢中になって仕事をほっぽり出すような大人はいませんね。まともな大人で仕事に差し障りが出るまで趣味に没頭する人はいません。無理だなと思ったらやめるでしょう。子どもも同じようにすればよいのです。

 

 それでも現実は、子どもが際限なく部活に時間と体力を奪われていくのを横目に、何も決められない、行動できない親御さんが多いのかなとも想像します。どうも現代の我々親世代は、バブル経済の時代に青春時代を送ってきているものですから、なんだかんだ言ってこれからの日本の現実に対し、本当の危機感が抱けないのかもしれません。

 

 このブログを書くに際していろいろな資料に当たってきたのですが、こんな記事を見つけたので引用しておきます。

日本で教鞭を執ったこともある、韓国人教師はこう言う。「(日本人には)私から見れば単に目的意識がなく、努力をしない学生が圧倒的に多い。このままでは単純労働しかできないのに、何の疑問も抱かず中国人より稼げると信じているのだから呆れる。日本を支える"技術"が石油のように湧いて出てくるとでも思っているのでしょうか」

 私は20年以上前にロシアに留学していたのですが、そこでも日本人学生の勉強しなさ加減は、他の追随を許さないものがありました。

 部活動なんかに際限なく時間を奪われ、勉強が全くおろそかになっていてもなんとかなるのではないかと子どもが思っているとしたら、それは日本がアジア随一の経済大国であった頃のものの感じ方からいまだに脱却できない大人側の責任も小さくないのではないでしょうか。

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