2020年05月12日 10:45

ことばの学校でも大人気の「若おかみは小学生」劇場版が今週末地上波で放映

 昨日は、1949年制作のソ連映画『ベルリン陥落』を自宅で見ました。

 「同志スターリン」礼賛の、ベタなプロパガンダ映画ですが、全編を見た率直な感想としては、むしろ見るべき映画かなと思いました。

 感情的で狂気に満ちたヒトラー対冷静沈着で国民を思いやるスターリン、狂信的にナチズムを礼賛する親衛隊員対英雄的なソ連兵と、物事を単純に整理しすぎていて、およそ戦争のリアルな表現とは言えませんが、まぁ、そこは水戸黄門のようなものですね。

 むしろ、ところどころに、プロパガンダ映画を作りつつも、それでも野心的な表現をぶち込もうとする映画製作者の根性が垣間見られるところがよかったです。特に優れているのは、ヒトラーとエヴァ・ブラウンとの結婚式の場面の表現。ベルリンでの市街戦が始まる中、総統地下壕でエヴァとの結婚式を待つヒトラー。そこにソ連兵が地下鉄構内に突入したという知らせが入ります。反射的にヒトラーは、地下鉄構内に川の水を流し込めという命令を下します。構内には空襲を避けるために何万もの避難民がいるというのに。

 やがてヒトラーとエヴァとの結婚式が始まりますが、結婚式の場面と大量の水を流し込まれた地下鉄構内でベルリン市民が溺れ死んでいくさまや、空襲で廃墟となりつつあるベルリンの街、市街戦で倒れていく若いドイツ兵の姿などがかわるがわる映し出されます。そしてそのバックには、なんとメンデルスゾーンの『結婚行進曲』(劇音楽『真夏の夜の夢』)がフルオーケストラで華麗に流れています。

 街が焼かれ、人々が斃れていく場面に、晴れがましいことこの上ない「結婚行進曲」を当てるという表現に、私はある種の感動さえ覚えてしまいました。この映画自体がスターリンの誕生70年を祝う目的があったとのこと。恐怖政治のもと、およそ自由な表現など許されない環境で、このような映像と音楽の実験的な表現を試みた映画製作者のプライドを見たように思います。スターリン時代という、表現者たちとしては極限的な困難な中で、それでも自分たちのできることを実現しようとした表現者たちの仕事に、大いに勇気をもらったように思います。

 さて、ほとんどタイトルに偽りありな前置きなのか主文なのか分からない話は置いておきまして、今週末16日、3時25分より、NHK Eテレにて、劇場版『若おかみは小学生』が放映されるそうです。

 『若おかみは小学生』は、令上ヒロ子作の大人気児童文学作品シリーズです。国語道場の読書指導「ことばの学校」でも、シリーズのうち20作品ほどが収録されています。どうぞ、ご家族でお楽しみください。特に、親御さんがご覧になるといいかなと思います。

 「親御さんがご覧になるといい」といっても、親のあり方について説教臭い話があるのでは全くありませんよ。子を持つ身の人間が見ると、単純にもう泣けちゃってしょうがない作りになっていると思います。なんともストレスフルな日常が続いていますので、素直に泣ける映画を見て、すっきりしましょう。

 そうはいっても、ケチなお涙ちょうだいメロドラマとはちょっと違います。「花の湯温泉のお湯は何者も拒まない」という一つのイデーが全編にいきわたっていて、それが物語の結末にも結び付く一本筋の通ったドラマを形作っています。ドラマチックでありながら端正で、芸術的にも優れた映画作品です。

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