高すぎる個別指導チェーン塾の授業料は害悪でしかない

2023年06月03日

国語道場では、来週より夏期カウンセリング(個人面談)を約1か月にわたり実施いたします。出来る限り多くの塾生の保護者の皆様とお会いできるよう期待しております。

また、夏期講習生を募集しております。今日の時点ですでにお二方のお申し込みをいただいております。早々のお申し込み、まことにありがとうございます。

夏期講習というと、まぁ、今年も個別指導チェーン塾さん方は、目玉が飛び出すような高額の講習費を請求していかれることなのでしょうね。

20年くらい前だと、「東洋経済」などの雑誌に、「塾や家庭教師の中には、何十万円という法外な受講料を請求するところがある」(強調は筆者)といった良識的な記事が書かれていたものです。しかし、そうした個別指導チェーン塾が拡大し、テレビCMを打ったりと、マスメディアや広告業界との関わりが深くなってくるにつれて、このような良識的な批判は聞かれなくなってしまいました。ジャニーズ問題と同じようなものですね。

普通に考えて、地元の公立高校を目指す受験生に、夏期講習や冬期講習だけで20万や30万の受講料を請求するなんてことは、おかしなことです。こんなバカげた話は、私の子どもの頃にはめったにありませんでした。

こういう状況ですので、教育サービスをお子様に受けさせる側の保護者の皆様には、是非とも重要なポイントを押さえて頂いて、賢く塾をご利用になっていただきたいと思います。

個別指導チェーン塾の授業料が非常に高い原因は、人件費にあります。まぁ、1対1や2で教えてもらうのだから、高いのはしかたがないと思われるかも知れません。しかしそれは塾側の理屈であって、成績を上げるといった本来あるべき目的から考えると、的外れで工夫がない話だとも言えるわけです。

1対1や2で教えてもらうのだから、高いのは仕方がないと納得してしまう背景には、とにかく手取り足取り教えてもらえれば、出来るようになるのではないかという思い込みがあるのではないでしょうか。

勉強は自分自身が頭を使って、手を動かすことで身につきます。それなのに、自分で考えることもしないで、手取り足取りやってもらうような「指導」を受けていれば、実質的に勉強しているのは教えている講師で、本人には少しも学力がつかないということになります。これでは、学力ではなく、依存心を育てるために塾に行かせているようなものです。

塾に対し、子どもを手厚く接待してほしいという親御さんであれば話は別ですが、子どもの学力、成績を伸ばして欲しい、志望校に合格させてほしいという方であれば、そのために重要なポイントは次のようにシンプルなものです。

まず、授業や面談を通して子ども自身に、何をどれだけやらなければいけないか認識させられていること。

ついで、やる気のある塾生が集まっていて、分からないことは気軽にマンツーマンで納得がいくまで教えてもらえるなど、前向きに学習できる環境であること。

そして、勉強したことを修得するために必要な絶対的な学習量が確保しやすいこと(授業料が安価または定額であること)。

といえるでしょう。これからの個別指導塾が、本当に保護者の皆様のご要望に応えるために努めるべきなのはこうした点にほかなりません。

報道されている通り、2022年の1年間に、日本で生まれた子どもの数は、とうとう80万人を切ってしまいました。厚生労働省の調査によると、理想の人数の子どもを持たない夫婦の約8割が、「お金がかかりすぎること」をその理由に挙げています。

たぶん、多くの保護者の皆様の間で、中3受験生の夏期講習の相場は、個別なら20万円~30万円くらいという観念が出来上がっているのではないでしょうか。地元の公立高校を受験する普通の中学3年生の夏期講習が20万・30万もかかるというのなら、それは子どもの数も減るでしょう。もはや、個別指導チェーン塾の法外に高額な授業料は、日本社会にとって害悪でしかないと言って過言ではないと思います。

そもそも地元の公立高校への入学準備のために、それほど高額な教育費をかける必要があるのか、お考えになっていただきたいことです。

実際問題、公立高校の入試で、「激戦」と言われるところでも全体の受験倍率は1倍台後半程度で、2倍を超えるようなところはほとんどありません。要するに、公立高校入試は、よほど無茶な受験をしなければ、合格できる可能性は高いということです。

それなのに、個別指導チェーン塾に通わせ、中3の1年間で100万円を超える投資を行うということは、あまり賢明な判断とは言えません。

保護者の皆様には、様々な情報をよく吟味し、ご自分に最適なお子様の教育をお選びになっていただきたいと思います。また、個別指導塾チェーンに対しては、何の努力も工夫もなく、経済的な負担をご家庭に押し付けるようなビジネスは人倫にもとるものであり、改めていっていただきたいと願うばかりです。