辞書を買ったら最初にするべきこと

2022年05月05日

新年度が始まって早くも1月が経ちました。進学・進級をきっかけに新しい辞書を買われた方も少なくないかと思います。

最近では、分からないことがあったらすぐにネットで検索するという流れになっています。私もそうですし、検索自体がなかなか楽しいことに思ってもいます。

それでも、分からない言葉に出会ったら辞書を引くことの重要性は少しもなくなっていないし、これからもなくなることはないだろうとも思っています。教育関係の人々で心ある方の多くも同じ意見かと想像します。

その理由はいろいろと考えられますが、一つ挙げるとするならば、辞書を引くという経験ほど、一定の秩序にしたがって配列された事物に触れるということは日常生活の中で他にあまり例がないということがあります。この経験を繰り返すことは、世の中にある様々な物事の間にある法則性に気づいたり、物事を整理したりまた効率的に処理したりする能力を育てることに、どこか奥深いところで結びついているからではないか。たんに辞書を引いて知識を増やすといったこと以上のものがあるように思います。

よく聞かれるのですが、私は、小学生の国語辞典は小学生向けのもの、中学生の英語の辞書は中学生向けのものを買い与えるのがよいと思います。まだ辞書に慣れていないお子さんにあまり大きな辞書を与えてしまうと、情報が多すぎて、調べたがらなくなってしまうかもしれません。ある程度勉強が進んでいるお子さんに収録語彙の少ない辞書を与えても、当然役に立ちません。

国語道場の生徒たちは本当によく辞書を引きます。それで、すぐに辞書がボロボロになってしまいます。状況にもよりますが、国語道場では基本的に「この字は何て読むんですか」とか、「この単語はどういう意味ですか」という質問に対してその答えを教えることはしません。

そういう時は辞書を引くんだ

ということを教えています。当たり前の話ですが、小中学生の学習指導で一番重要なことは、自分で勉強できる人間になるよう指導することだからです。

辞書を買ったら最初にするべきことは、コレです。

はい。まずケースとカバーを捨てましょう。

ケースなんかに大事に入れて書棚に辞書をきれいに収納されているところを見ると、絶対この人辞書使ってないだろうなと思いますね。

辞書は、調べたいと思った時にすぐサッと引き出せるようになっていることが大切。ケースなんかその妨げにしかなりません。

勉強中は辞書を利き手の反対側に常に置いておいて、さっと手に取るようにしておいて欲しいと思いますが、手に馴染みにくいという理由で、カバーもいりません。手の上で蒸れたり、辞書本体とカバーがずるっと滑ったりするとか、辞書引きの邪魔にしかなりません。

オクスフォードやロングマンの英語辞書なんて、ただのペーパーバックですよね。日本の辞書も、こんなんでいいのになと常々思っています。