得意科目は怖い
千葉県公立高校入試の本検査が終わりました。
新型コロナに感染するなどして本検査を受けられなかった人の追検査は3月1日、また多くの高校で二次募集が行われると思われますので、すべての入試が終わったわけではありませんが、ひとまず受験生の皆さん、お疲れさまでした。
今回の学力検査も、なかなか難しかったというか、すんなりと答えが出しにくい問題が多かったですね。
国語道場も加盟する千葉学習塾協同組合情報部の推計では、平均点は260~270程度になるそうです。前年2022年度とほとんど同じくらいですね。
全国的に見ても、これほど得点の低い、すなわち難しい公立高校の入試問題も、なかなかないと思います。例えば東京都立高校は、例年平均点が300点前後に設定されています。
国語道場の生徒から実際に聞いた話ですが、ある高校のある教室では、1日目の1教科目の国語のテストが終わったところで、2人の女子受験生が泣き出してしまい、その後も立ち直ることができないため、監督者の肩を借りながら、試験場を後にしていったということです。
彼女たちについては、その後無事に最後まで受験できたことを祈るばかりですが、どうしてこういうことになったのか、少し考えてみたいと思います。
思うに、彼女たちは、ふだん国語を得意科目とし、得点源としていたのではないでしょうか。それが、あまりの難問に戸惑い、答案を満足に書き上げられなかったため、心が折れてしまったのではないでしょうか。
千葉県の入試問題は難しいです。特に国語は、時折とんでもない難問だらけになることがあります。
過去5年間の国語の平均点の推移は次のとおりです。
令和4 47.7
令和3 52.8
令和2前期 46.0
平成31前期 54.2
平成30前期 63.2
過去5年間で40点台が2回もあります。今回の入試もかなり解きにくい問題がありましたので、今回も平均点は40点台になるかもしれません。
その他の教科も、国語ほどではありませんが、おおむね平均点は50点台で、40点台になることもたまにあります。
ここから言えることは、得意科目があること自体はもちろん悪いことではありませんが、特定の科目に依存してそれを得点源とするような受験戦略は、千葉県の場合は極めて危険だということです。もしその科目がたまたま自分が受ける年に極端に難化した場合、大幅に得点ダウンが予想され、さらに平常心で試験を最後まで受けられなくなるかもしれないからです。
すべてを得意科目にできれば理想ですが、そうもなかなか行かないでしょう。したがって、5教科まんべんなく学習を積み、苦手でもそれなりに得点できるようになっておくことが大切です。
また、1日目の1教科目の国語への対応も重要です。これが難しい年度にあたってしまうと、もしかすると上に紹介した女子受験生のように、1日目1教科目で心が折れかけるということも起きてしまうかもしれません。
聞き取り検査に説明文・小説・古文の読解、作文と、それぞれの分野からある程度はどんな時でも得点できるような練習を、早いうちから始めることが大切です。