子どもに読解力をつけるためのひと工夫
子どもの「読解力がない」最大の原因は、逆説的ですが文章が日本語で書かれていることにあります。
どういうことか。日本で生まれ育った日本人だから、特に努力しなくても日本語ができているはずだと多くの人が思いこんでいます。だから字面を眺めて「読む」だけで、分からない言葉があろうが、何を言っているかピンと来なかろうが「読めた」と思ってしまうということが頻繁に起こります。
「読解力がない」とは、こうした習慣の積み重ねです。教科書や問題集の文章の文字をただ追うだけで、分からない言葉を調べることもせず、何を言っているのか自分の想像力に引きつけて考えることもしてこないから、読めなくなるわけです。
これを放置していると、中学生くらいで日本語で書いてあるのに何を言っているのかさっぱり分からないというところにまで行き着いてしまいます。
「うちの子どもは読解力がないから、読解力をつけてくれ」というご依頼をよく承ります。
当然そのために私はお子様方のために全力で指導をしていますが、上の通り「読解力がない」というのは「面倒くさい」、「考えたくない」という究極の心のなまけに原因がありますから、それを直せということになると、それこそ「人間を変える」並みのエネルギーと時間が必要になります。
小学生高学年・中学生ともなると矯正は一筋縄ではいきません。なにしろ、「面倒くさい」・「考えたくない」という心のなまけた状態を当たり前だと思って10年以上過ごしているわけですから。「文章を見ても何も考えない」という状態がおかしいんだよということに気付かせるだけでも、膨大な時間と労力が必要になってしまいます。
早期教育というと、なんだかオカルトなものやマニアックなものがはやるご時世ですが、子どもには読むもの、聞くものについて、何を言っているのか本人の頭で考えさせ、それを自分の言葉などで表現させる働きかけは、小学生低学年のうちからしっかりと行いたいものです。
ではどういうことをやっていったらいいでしょうか。
私がおすすめするのは、文章に描かれていることを絵に描いてみることです。文章で書かれていることを考えて、自分で表現させることを通して、文章をちゃんと読み、書かれていることにあれこれと想像を働かせて理解する習慣をつけることができます。
絵に描かせることでしたら、ことばで説明させるにはヴォキャブラリーが少ない児童にとっても、楽しみながら、それでいて本質的なところを押さえたうえで取り組むことができるのではないでしょうか。
ただし、思ったことを自由に描いてみようというのはダメです。正しい解釈を、子どもと話し合って描かせましょう。
何よりも大切なのは、書かれたものを読んで、これはどういうことを言っているのだろうとあれこれ想像したり、自分の言葉や絵などで表現する楽しさを味わうことです。楽しくやることが一番大切です。子どものためのひと工夫なのに、そのことが原因で喧嘩や叱責になってしまっては、子どもが勉強嫌いになってしまいます。
なかなかそのような時間が取れない、見ているとついついイライラして厳しくなってしまう、喧嘩になってしまうなどなどがある場合ですが・・・
大丈夫です。そういう時は国語道場にお任せください<m(__)m>