英語力格差なんて当たり前。英語の学びをどんどん進めていきましょう

2023年01月17日

 朝日新聞別刷りの教育情報誌EduAの特集が話題になっているようです。

 2020年度より始まった小学校における英語の教科化にともなって、英語嫌いの小学生が増え、英語の学力格差が拡大しているのではないかという記事です。

 「英語が嫌い」という子どもが増えていることについては、本格的な学習をすれば、「嫌いだ」と思う人が増えるのはある程度仕方がないことなのかなと、個人的には思います。小学生の英語嫌い率3割が問題だったら、従来から国語が嫌いという児童が4割いたことも、同様に深刻に受け止めるべきでしょう。

 そして、小学校における英語の教科化によって、英語の学力格差が広がったと批判するような意見は、いささかミスリーディングであると思いました。というのは、英語はもともと学力格差が広がりやすい教科であることは、分かりきったことだったからです。

 上の図は、小学校の英語必修化が始まるずっと前の、2018年度千葉県公立高校入試前期選抜学力検査の英語の得点分布です。いわゆる「フタコブラクダ」ですね。得点の分布は、80点以上90点未満の受験生が最も多く、約15%です。しかし、2つ目のピークは、30点以上40点未満の層で、12%といったところでしょうか。このように、小学校英語が正式な教科になる以前から、中学生の英語力は、よくできる子どもたちとできない子どもたちの二極に分かれていたのです。

 現在小学校で行われている英語教育は、文法事項で言うと昔の中学の1学期くらいまでの内容、単語については700語程度ほどを小6までに教わることになっています。要は、昔に比べると先取り教育になっているわけですが、もともと学力格差が広がりやすい教科でこれをやったら、さらに格差がひどくなるのは目に見えていました。

 ですので、小学校英語の教科化が決まったとき、私は、これは国民のみんなが学力格差を仕方ないものとして認め、できる子はどんどん伸ばしていくという方向性に納得しているのかなと思っておりました。しかし、いざこうして格差が広がってみると、いまさらのように大慌てになる方も大勢いるようで、少々呆れております。日本の英語教育は、すでに格差上等の局面に入っているわけですから、お子さんの適性・能力に合わせて、どんどん学習を進めていかれればよろしいと思います。

 英語教育については熱心なご家庭とそうでないご家庭との「熱量」の差が大きい印象があります。国語道場は、以前より「英検」の準会場を務めておりまして、塾生以外の一般受験生も受け入れて実施しております。そのため、英語教育において「地殻変動」といってもいいような変化が起きているということを実感せずにはいられません。

 「地殻変動」とは、ご想像のとおり、小学生の受検が非常に多くなったことです。5級に至っては、現在では半数以上が小学生。これまでで最も若い方は小学1年生でした。国語道場の生徒の中にも、小学校卒業までに英検3級を取得する児童が増えています。

 できるお子さんは果てしなくできていく、その一方で、本来はやればどんどん伸びるかもしれないのにやらせていないためにくすぶっているお子さん、あまり語学に適性のないお子さんとの間に生まれる二極分化には、空恐ろしいものを感じてしまいます。

 高校入試が現行のような形で続いていくならば、英語の入試得点の分布は、上で見た「フタコブラクダ」の形がもっと極端なものになることは容易に想像できるでしょう。80、90点台のところに大きな山ができ、その一方で低い得点のところに小さな山ができる。そのようなことになるでしょう。あるいは、現行の「簡単な」入試問題では、上位の生徒の選抜に使えないので、もっと難しい問題にしてしまおうということになるかもしれません。そうなると、英語が苦手なお子さんは、本当に手も足も出なくなってしまいます。

 小学校の英語教科化は、英語力格差を激しくした一方で、それによってお子さんの英語力を伸ばすことに役立っているかどうかは、難しいところです。英語が得意な小学生の英語力は、本人の語学学習への適性+家庭の英語教育の熱心さによるところが大きいのではないでしょうか。

 国語道場にも本気の小学生英語コースがあります。名付けて道場English。効果的に読む・書く・聞く・話すの4技能をバランスよく身につけることができます。

 特に「話す」に関しては、オンラインで外国人講師によるマンツーマン授業を受けることができます。やっぱり「話す」練習は逃げられないマンツーマンがベストです。グループレッスンだと、やる気があっても引っ込み思案だったりちょっと苦手意識のあるお子さんだったりすると、何もしゃべらずに終わってしまうなんてことがよくあるのではないでしょうか。

 日本における英語教育言説でいつも疑問に思うのは、「文法教育VSコミュニケーション重視教育」の二項対立です。私はロシア語をモスクワ大学の予科で学んだことがあるのですが、話すことと文法のどちらを重視するなんて無意味な議論は全くありませんでした。話すことも文法もどちらも大事。これが語学教育のグローバルスタンダードだと思います。

 道場Englishでは、そのようなわけで、コミュニケーション教育だけではなく、「読む・書く」力、そしてそれを支える文法の教育にも力を入れております。

 無料体験授業も行っておりますので、ご関心のある方はぜひ一度国語道場にお気軽にお問い合わせください。